Vol.02|裏原 CALLING

Vol.02|裏原 CALLING


裏原カルチャー 夜明け前…



井上三太氏(以下 三太):裏原の話、したいんですよね(笑)


NIKO24:はい(笑)ただ、僕は世代的にはちょっと下なんです。


三太:そうなんですね。僕もど真ん中にはいないけど、デビューしたての頃、面白い編集者がついて、色々な面白い所に連れてってくれて…ある日の飲み会で『宝島』[※注1]の編集者を紹介してくれました。もともと『宝島』が大好きだったんで、その方ともすぐに仲良くなりました。


当時、僕はまだ若くて、19歳か20歳くらいだったかな…モデルできるかって言われて。AIR JORDAN履いたり、スパイク・リーが映画を撮った後だったので、そのT-sh着たりして。その頃から漫画以外にも、いろいろと活動していましたね。その頃、遊んでいた仲間の中にスケシン[※注2]って人が来て、一緒に飯食いに行ったんですよ。

そしたら、そのスケシンさんが藤原ヒロシ君[※注3]と友達だって言うんです。ヒロシ君、いや当時はヒロシ君なんて呼んでないけど、藤原さんの家に遊びに行きました。その時にスケシンさんが、ヒロシ君はちょっと年上だけど「クン」て呼ばないとだめだよって。

それより上の世代の、もっと怖い(笑)先輩たちは体育会系だったんですけど、裏原時代の人たちからは、その辺を平らにしていこうってことで、ため口にしようみたいのがありました。

 

 


ちょうどその頃、フジテレビの深夜枠で高木完さん[※注4]とか藤原ヒロシ君がTV番組を持っていて、RUN DMCとかadidasの靴とか服とか着だして、なんかHIP HOPが流行っているらしいって言われ始めてたんです。

当時、宝島はパンクとかロックをメインにやってたのに、高木さんとかヒロシさんが、ロンドンとかニューヨークからHIP HOPが流行ってきてるらしいって言って、服装を変えていったんですよね。

その後、スケシンさんと仲良くなって、事務所に遊びに行ったら『宝島』によく出てるNIGO君[※注5]っていう、なんかゲームオタクの男の子みたいなのがいて (笑)

みんなで何かやるっていうわけですよ。オモチャ作るとか最初言ってて。『BOUNTY HUNTER』[※注6]でオモチャ作ったりして。そうこうしているうちに、ある時みんなでブランドやるって言いだして …えーって思っていたら、それぞれがお店を持ち始めたんですよね。


NIKO24:みなさんどうやって洋服作りの勉強したのでしょうか。


三太:みんな文化服装学院とか新宿モード学園とかに通って、洋服のことはある程度勉強していたとは思います。ただ、それ以前は洋服のデザイナーになりたいんだったら、ちゃんとした学校に行って、弟子として有名な先生についたりしないと、洋服なんか作れなかったんです。

そこにちょうどMac(Macintosh)が登場して、Adobe IllustratorとかAdobe Photoshop使えば入稿できるってことになっちゃって。僕もシンちゃん(スケシンさん)から、Mac買った方がいいよって言われて、大変な思いをしてMacを買ったんですよね (笑)今考えると、あれが夜明けでしたね。漫画家でMacを使ってる人なんて誰もいなかった。

そう言った意味では、テクノロジーっていうのは、時代が変化するキッカケなのかもしれないですね。いま、NIKO24さんが手掛けているNFTやweb3.0も、時代を変えていく技術なのかもしれませんね。


※注1 宝島|宝島社から発行されていた看板雑誌。ストリートファッションやロックバンド特集など、当時の若者のバイブルとして人気を呼んでいた。

※注2 SKATE THING(スケートシング)|日本のイラストレーター/グラフィックデザイナー。ファッションブランド「C.E」のデザイナー。80年代後期から90年代にかけストリートファッションのアパレルブランドの立ち上げ、デザインに参画。(主なブランド:グッドイナフやア・ベイシング・エイプ)


※注3 藤原ヒロシ|ファッション・カルチャープロデューサー、ミュージシャン。1990年代パンク、スケートボード、ヒップホップのストリートカルチャーをファッション・芸術と融合させ、NIGO高橋盾(JONIO)氏らと共に裏原宿系ブームを牽引。2022年5月26日、LOVEをはぐくむ家族型ロボット『LOVOT(らぼっと)』を開発するロボットベンチャーのGROOVE X 株式会社のCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)に就任。


※注4 高木完|日本のヒップホップミュージシャン、DJ、音楽プロデューサー。K.A.N CO.LTD代表取締役。1988年に、高木完、藤原ヒロシ、屋敷豪太、工藤昌之(K.U.D.O.)、中西俊夫(ex プラスチックス)の5人により、日本初のヒップホップを中心としたクラブミュージックレーベル“メジャー・フォース(MAJOR FORCE)”を設立。


※注5 NIGO(ニゴー)|ファッションデザイナー/ファッションディレクター。1990年代にファッションブランドの「A BATHING APE®」(ア・ベイシング・エイプ)創業者。 2010年に「過去と未来の融合」をコンセプトにしたライフスタイルブランド「HUMAN MADE」を創業。2021年「KENZO」のアーティスティックディレクターに就任。


※注6 BOUNTY HUNTER|1995年HIKARU(岩永光)氏が原宿にショップ『BOUNTY HUNTER』をオープン。スケートシング氏デザインによるオリジナルフィギュア(キッドハンター)等を販売。1990年代~2000年代のストリート系オリジナルTOYブームの火付け役でパンクロックをベースにしたデザインが特徴的。

 

 


NIKO24のルーツ ✕ 井上三太

 

NIKO24:振り返ってみると、中学生の頃から絵が好きで、グラフィティを描いて遊んでいたんです。自分の住む地域はかなり田舎だったんで、練習する場所といえば「家の壁でしたね」(笑)

高校生の時、ステンシルを作って、スプレーでTシャツにデザインをプリントしてました。実は大学時代に仲間とブランドを立ち上げたこともあって、当時はECサイトがまだ無かったんで、mixiを使ったり、ライブハウスで手売りしたりしてましたね。

社会人になってからもデザインは続けていて、大分にあるスケートショップ『Tre°SB(トレエスビー)』のアニバーサリーTシャツとかフライヤーのデザインをしてました。こうして振り返ってみると、やっぱりデザインとか絵が好きで、ずっと続けてるんですよね。


三太:昔からデザインやってたんですね。


NIKO24: そうですね。実は三太さんの『TOKYO TRIBE2』や『Tokyo Graffiti』[※注7]はグラフィティやストリートカルチャーを学ぶ重要な情報源でした。漫画を読んで、東京にはこんなライフスタイルを楽しむ若者たちが存在するんだって知りました。それが僕のルーツの一部となっていますね。


三太: それは嬉しいですね。


NIKO24: 週刊少年ジャンプや少年漫画の全盛期に育ったんですけど、洋服や音楽などのストリートカルチャーと漫画を組み合わせるというアイディアは、おそらく他にはなかったと思います。『Boon』で連載されてましたよね。

印象に残っているのは風景の切り取り方ですね。スケーターが魚眼レンズで撮影するような視点があるじゃないですか。それが一つの絵で伝わってくるんです。ドライブのシーンでは、その場面に合った音楽がかかってそうな雰囲気も感じました。







NIKO24: そういえば『TOKYO TRIBE2』は他の本とは違う形をしていたので、本棚からちょっと飛び出てましたよね。



三太:あれ、ちょっとだけ規格サイズと形がちがうんですよね。


NIKO24: その感じがカッコよかったんですよね。 『TOKYO TRIBE2』を本棚に並べて、友達が家に遊びに来た時に、ストリートカルチャー好きをさりげなくアピールしてました(笑)友達が本棚を見て、「やっぱ持ってるよね」みたいな会話になるんですよね。


三太:(笑)




※注7 Tokyo Graffiti|2000年から2003年まで週刊ヤングジャンプ(集英社)にて連載。2006年から2007年までヤングジャンプ増刊 漫革(集英社)にて不定期連載されていた。物語の舞台は「トーキョー」。主人公の森永裸武(モリナガラブ)はムサシノSARUのメンバー。

Instagram 
画像はsantainoue instagramから



番外編:

三太さんへのプレゼント。
そして、三太さんからも…。



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三太さんありがとうございました


ストリート業界にて現役で活動され、漫画家としても数々の作品を残している井上三太氏から裏原初期の裏話やクリエイターとしての生き方を教えていただける機会となった。今後も三太氏の活動から目が離せない。

 

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■STAFF
 COORDINATOR|mittooney, IORI MIYATA (GOOD FELLOW INC.)
 EDITOR|KASOU, azemichi, chabo, montick
 SPECIAL THANKS|GOOD FELLOW INC.
 


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